連載①最近の就職活動事情を知る(就活スケジュールと採用の流れ)
「就活は3月スタート」は危険信号
東京五輪控え、内定時期も早期化
子どもにインターン参加の助言を
「先輩も就活は楽勝だって言っていたし、多少は求人が減るかもしれないけど、大丈夫だよ」。
親御さんが、お子さんの就職を心配して声をかけると、こんな返事がくることが多いものです。長年、講演や添削、書籍執筆など、多数の学生の就職支援をしてきた経験から言えることは、学生は就職の環境を都合よく解釈することが多い、ということです。
確かに企業の求人は増えていますが、それは全体の話。リクルートワークス研究所の調査では、社員数5000人以上の求人は、0.70倍(2016年卒者)から0.42倍(20年卒者)へ、ほぼ半減しています。増えているのは中小企業です。つまり地元有力企業などの人気企業は以前より内定を得にくくなったと考えるべきです。
この事実をお子さんに確認してみましょう。知っているのであれば安心です。逆に知らずに冒頭のコメントをしているならば心配な状態です。
私がお勧めするのは、企業が行うインターンシップ(就労体験)にお子さんを参加させることです。
ここ数年の傾向として、地元有力企業も含め多数の企業は、大学3年夏、秋、冬と3月1日の就活スタートより前にインターンシップを行います。
そこで優秀な学生に目星をつけ、特別セミナーに呼び出し、大学4年の6月1日より早い時期に内定を出している人気企業もあります。これが就活、新卒採用の実態です。
今年もインターンシップの時期が早くなり、特に来夏から東京オリンピックが開催されるため、さらに早期に内定が出る傾向が強くなるでしょう。
もしお子さんが「就活は3月1日スタートだから、それまでは特にやることはない」という発言をしているなら、非常に危険な状態です。
地元企業のインターンシップ情報は、通常の就職ナビには掲載されないことも多く、地元新聞社の就職サイトや、同じく合同企業説明会に参加すると良いでしょう。そこで企業情報、インターンシップ情報を集めます。
そしてお子さんには次のようにインターンシップに参加するようアドバイスしましょう。
・事前に企業の採用サイトを見て、5つ以上の質問を用意しておく(目的意識を持つ)
・インターンシップでは、多数の社員へ質問し、会話を通じて社風などを理解する
このように対応できれば、受け身でなく、主体性が高いことのアピールにつながります。特別セミナーに呼ばれ、内定を得る可能性も高まるでしょう。
福島直樹(就職コンサルタント)
長野県出身。上智大文学部を卒業後、民間企業を経て1993年から就職に関するコンサルタント業務をスタート。学生の就職相談に応じ、就職・採用に関する執筆、講演活動なども行っている。また企業の採用戦略、面接などにも携わり、就職関連のテレビやラジオ番組にも数多く出演している。