1日目の結果
県一周駅伝2年ぶり号砲 南アルプスA初日首位

 第58回山梨県一周駅伝競走大会(山梨日日新聞社、山梨放送、山梨県、県スポーツ協会、山梨陸上競技協会主催)は4日開幕した。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となったため、2年ぶりの開催。初日は県庁から富士吉田市役所までの10区間79・4キロで争われ、2016年以来、9度目の優勝を狙う南アルプスAがトップに立った。
 渡辺和彦副知事の号砲で18チームがスタート。南アルプスAは9区・矢崎那央の快走で先頭に立ち、4時間26分49秒でゴールした。1分17秒差で南都留が続き、大会3連覇を狙う甲府がトップと1分45秒差の3位となった。大月は5区で途中棄権となり、以降はオープン参加となった。
 感染対策のため、開閉会式は行わず、沿道の観戦自粛を呼びかけている。最終日の5日は富士吉田市役所から甲府・山日YBS本社までの9区間74・5キロ(14区は中止)で行われ、総合優勝が決まる。
 

山梨県庁前からスタートした1区の中学生男子ランナー=甲府市内


初日1位でゴールする南アルプスAの10区石塚邦明=富士吉田市役所前
 
南アA1分17秒リード
5年ぶり頂へ「狙い通り」


 南アルプスAの10区石塚邦明(東京ガス山梨)が歯を食いしばってゴールへ向かう。「少しでも貯金をつくりたかった」。最後までペースを落とさず、全力でフィニッシュテープを駆け抜けた。
 最終日のアンカーに全日本実業団対抗女子駅伝を走った飯野摩耶(埼玉医科大グループ)が控え、「後半勝負」に自信を持つ南アルプスA。53回大会で優勝して以降、2、3、3位と頂点に届いておらず、斎藤賢志監督は「優勝するには初日でトップに立ちたかった。選手がしっかり走ってくれた。狙い通りの展開だ」と声を大きくした。
 1〜3区を走った中高生が3区終了時点で2位につけ、「良い流れをつくってくれた」(斎藤監督)。4区も勢いに乗って連続区間賞。一時、3位まで順位を落としたが、9区を走った巨摩高2年の矢崎那央が意地の走りを見せた。
 2位でたすきを受け取った矢崎はすぐに前を行く南都留に追い付くと、中盤から後半にかけてペースアップ。「とにかく前を追った。序盤を粘り、後半からペースを上げられた」と区間賞の快走で首位を奪回した。
 「(区間賞を)狙っていたが、驚いた。前のランナーが良い位置でたすきを渡してくれたおかげ」とチームメートに感謝。4日は17歳の誕生日で生まれた日も県一周駅伝の開催日だったといい、「縁のある大会でチームの初日トップに貢献できてうれしい。最高の誕生日になった」と笑った。
 2016年以来の優勝を狙う。初日アンカーの大役を終えた石塚は「中止になった昨年も含め、次こそは、の思いで2年間練習してきた。その成果を仲間には出してほしい」と5年ぶりの頂へ思いをはせた。




区間賞の快走で南都留を5位から2位に押し上げた6区の志村竜星=甲州市内
 
南都留2位上りで加速
“山の神”友の言葉に刺激

 南都留は、難所とされる笹子峠を越える6区で区間賞を獲得するなど上り区間で快走した。初日2位となり長田尊三監督は「望外の結果。この勢いで最終日も頑張りたい」と声を弾ませた。
 力強い走りで笹子を越えた志村竜星(山梨学院大)は、2020年の箱根駅伝の山上り5区で区間新記録を樹立した東洋大の“山の神”宮下隼人主将と、富士河口湖高時代の同級生。「(宮下の活躍は)刺激でしかない。自分も頑張ろうと思える」と険しい山道に挑んだ。
 大会に向けて自宅付近の山を走り込むなど、普段の練習は上り対策に特化。大会前には宮下から「頑張れ」と連絡をもらったといい、「(宮下には)遠く及ばないが、狙った区間賞を取れてうれしい」と満足そうに笑顔をみせた。
 緩やかな上りが続く5区区間賞の上田誠人(忍野中教員)も「忍野村周辺は坂道ばかり。普段の練習が上り対策になる」と力を込める。「自信を持って坂に臨めた」と勝因を語った。「5、6区の活躍が大きい」と長田監督が語ったように、地域で鍛えられた健脚がチームの順位を押し上げた。
 1997年の34回大会以来となる優勝が射程圏内に入った。最終日の前半区間は地元・南都留郡を走る。長田監督は「前半から全力で行きます」。地元から力をもらい、トップを狙う。



甲府の2区橘山煌良(左、区間1位)からたすきを受け取って走り出す3区の馬場滉大(区間3位)=甲府市内
 
甲府3位3連覇射程圏
 3大会連続の総合優勝を狙う甲府は、2区間で故障者によるエントリー変更がありながら、首位に1分45秒差の3位。荻久監督は「トップと2分以内。まだチャンスはある」と自信をのぞかせた。
 予定していたオーダーが組めなかったが、選手層の厚さを見せつけた。3位でたすきを受けた2区の橘山煌良(城南中)が「自己ベストのタイムを出せた」と区間賞で首位を奪取。その後、一時4位に落ちたものの、9、10区はいずれも区間2位でつないで盛り返した。約20年ぶりに出場したという10区の根津一夫(三ツ星カンパニー)は「向かい風で厳しかったが、チームに貢献できる走りができた」と胸を張った。
 アンカーに実力者を置く南アルプスAを逆転し、3連覇を果たすことができるか。荻監督は「早い段階でトップに立って、後半に向けて貯金を作りたい」と逆転Vへのシナリオを描いた。




山梨日日新聞 2021年12月5日掲載

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