1日目の結果
甲府初日トップ

 第62回山梨県一周駅伝競走大会(山梨日日新聞社、山梨放送、山梨県、県スポーツ協会、山梨陸上競技協会主催)は6日に開幕した。県庁から富士吉田市役所までの10区間79・5キロで争われ、2年ぶりの優勝を狙う甲府が4時間20分28秒で、2位の南アルプスAに3分8秒差をつけてトップに立った。
 石寺淳一副知事の号砲で17チームがスタート。甲府は2区までに10位と出遅れたが、3区で3位まで上げると、6区の本名萩が区間賞の走りで首位に浮上した。2位の南アルプスAは3区で首位に立ったものの、中盤以降に追い上げを許した。3位は前回王者の南都留だった。
 最終日の7日は富士吉田市役所から甲府・山日YBS本社までの10区間89・3キロで実施する。
 

山梨県庁前をスタートした1区の中学男子選手=甲府市内


区間1位の快走で首位に立った甲府の6区本名萩=大月市内
 
甲府「王座奪還」射程に
笹子で本名が逆転 独走

 2年ぶりの王座奪還を目指す甲府が、中盤区間で強さを発揮して首位に立った。大きな“貯金”をつくって初日を終え、上林敬洋監督は「(5区以降の)後半勝負を予想していたが、その前の高校生もしっかり流れをつくってくれたことが大きかった」と選手をねぎらった。
 スタートで出遅れたが、スピード自慢が集まる3、4区で「山梨学院高コンビ」が巻き返した。10位でたすきを受けた3区の西崎大貴が7人抜きの快走。4区の橘田響も「(西崎が)かなり順位を上げてくれたので、自分もやってやるぞ」と奮起し、2位に浮上した。
 流れを決定づけたのが、笹子峠を越える難所の6区を任された本名萩(山梨学院大)。この区間を3年間任されてきたランナーは「レース前に『ここ(6区)で首位に立つぞ』と激励された。絶対につかまえるんだという思いだった」と有言実行の走りで、上り坂で首位に立った。本名からたすきを受けた綱本幸栄(山梨学院大)が2位と4分差をつけ終盤は独走状態に。綱本は「本名さんが先頭で来てくれて力になった」と笑顔を見せた。
 史上初の6連覇を狙った前回は2位と涙をのんだ。前田新太主将は「『優勝奪還』を合言葉に1年間やってきた。最終日も攻めの姿勢で、笑顔でみんなとゴールに集まりたい」と気合。リベンジに燃える「チーム甲府」が最終日の89・3キロを熱く駆け抜ける。



区間2位の力走を見せた南アルプスAの5区鴨作大夢(左)が6区五味翔太(区間5位)にたすきを渡す=甲州市内
 
南アA2位 3分8秒差
若手が勢い逆転狙う

 9年ぶりの優勝を狙う南アルプスAは、若手とベテランの力が融合して2位に食い込んだ。トップの甲府との差は3分8秒。斎藤賢志監督は「巻き返せないタイムではない」と最終日を見据えた。
 上り坂が続く難コースの5区を任された鴨作大夢(東海大甲府高)の好走が光った。「今まで走ったコースの中で一番きつかったけど、中学時代の顧問の先生や沿道の声援で何とか粘ることができた」と、成人ランナーが並ぶ区間で16歳ながら2位と力走した。
 高校生に刺激を受けたかのような走りを見せたのが、9区の46歳、石下良行(ナビクリエイト)。若手ランナーに交じりながらもベテランの意地で区間3位に食い込み、「自分の子どもよりも若い子たちとの勝負でも、年齢は言い訳にしたくなかった」と奮起した。斎藤監督は「本当は40代の区間で起用しなければいけないところをチーム事情を理解してもらい、感謝している」と語った。
 最終日に18区を走る予定の鴨作は「1分1秒を削り出す」と意気込む。逆転Vへ、南アルプスAが首位の背中を追う。



南都留の5区志村竜星(左、区間1位)から6区小山田雄登(区間4位)にたすきをつなぐ=甲州市内
 
南都留3位連覇黄信号
 前回大会王者の南都留はトップと6分2秒差の3位での折り返しとなった。増山稔監督は「相手が強かった。これが実力」と冷静に受け止めた。
 5区の志村竜星(山梨さえき)は「上りだったが、良いペースで走れた」と区間賞の力走。笹子峠を越える6区を初めて走った小山田雄登(メイキョー)も区間4位で駆け抜けた。3〜10区はいずれも区間5位以内と、好タイムをマークした。
 首位で折り返した昨年より14秒速かった。しかし、他チームのレベルアップが想定以上の差につながった。2年前に同じ3区を走った武藤有亮(あだち江北メディカルクリニック)は「おととしより速いタイムだったが、力不足だった」と振り返る。
 連覇には大幅な巻き返しが求められる。増山監督は「3位と4位では大きな差が出る。そこ(表彰台)はしっかり狙っていきたい」と強調した。




山梨日日新聞 2025年12月7日掲載

記事・写真・イラストの無断掲載・転用を禁じます。
Copyright 2025 山梨日日新聞社 THE YAMANASHI NICHINICHI SHIMBUN.