1日目の結果
南都留がトップ

 第61回山梨県一周駅伝競走大会(山梨日日新聞社、山梨放送、山梨県、県スポーツ協会、山梨陸上競技協会主催)は14日に開幕し、県庁から富士吉田市役所までの10区間79・4キロで争われた。南都留が4時間26分44秒で大会6連覇を狙う甲府に約2分差をつけてトップに立ち、1997年の第34回大会以来、27年ぶりとなる総合優勝に王手をかけた。
 長田公副知事の号砲で18チームがスタート。南都留は1区で16位と出遅れたが4区で6位まで上げると、5、9、10区が区間1位の力走でゴール。甲府は6区でトップに立ったが終盤の追い上げを許して2位だった。1位と4分22秒差の3位に甲斐Aが入った。
 最終日の15日は富士吉田市役所から甲府・山日YBS本社までの10区間88・5キロで実施する。
 

山梨県庁前をスタートした1区の中学男子選手=甲府市内


第1日ゴールの富士吉田市役所に入る南都留の10区・加藤淳一(区間1位)
 
南都留 27年ぶりV射程
若手とベテランの力融合

 南都留のアンカー・加藤淳一(富士山の源水)は両手でガッツポーズをし、首位でゴールテープを切った。王者・甲府を引き離しての初日首位に、加藤は「監督(増山稔)からたすきを受け取り、(自分の力で)甲府との差を約30秒広げられた。最高だった」と喜びをかみしめた。
 若手とベテランの力が融合した。中学生の1、2区で出遅れたが、3区の22歳、小山田雄登が「(出遅れは)想定していた」と、落ち着いた走りで4区の大学生、藤森駿にたすきリレー。3回目の出場の藤森は「最初は落ち着いて入って確実に抜いていこう」と計6人を抜き去って6位まで順位をアップさせた。
 5区以降はベテラン勢がつないだ。5区の28歳、大久保陸人が区間賞の力走で3位につけると、今回が出場8度目の志村竜星(山梨さえき)、5度目の近藤駆(ふじやま温泉)が6、7区で区間2位と快走。前を行く甲府との差をわずか4秒まで詰めてたすきを受け取った増山は、「思ったよりも風が強かったので、タイムではなく、うまくまとめることを意識した」と冷静にペースを刻む走りで首位に立ち、45歳のアンカー・加藤に勝利を託した。
 チームは2年連続で準優勝。「打倒・甲府」への思いを胸に週に1、2回の練習会を開き、団結力を強めてきた。27年ぶりの栄光まであと10区間、88・5キロ。藤森は「最終日も強い選手が残っている。チーム一丸で勝ちたい」と必勝を誓った。



甲府の7区・綱本幸栄(左、区間1位)が8区・望月健太(区間4位)にリレーする=大月市内
 
2位甲府 1分58秒差
当日選手変更 粘りの走り

 6連覇を目指す甲府は、アクシデントに見舞われながらも2位で初日を終えた。上林敬洋監督は「急きょオーダー変更もあった中、全員が持てる力を発揮してくれた」と選手をたたえた。
 大会前日の夜にチームに体調不良者が出て、当日のオーダー変更を余儀なくされたが、チーム全員でカバーし合った。2区の大崎美希(甲府北中)が「1秒でも速く走って先頭まで行く気持ちだった」と順位を八つ上げ5位でたすきをリレー。6区の本名萩(山梨学院大)は笹子峠を越える難所でライバルを抜き去り、一時、首位に躍り出た。
 8〜10区を走ったのは当日オーダー変更となった選手たち。地元の郡内で追い上げを図る南都留にじわじわと差を詰められ、9区でリードを許したが、粘りの走りで2位に踏みとどまった。8区の望月健太(サントリーFE)は「最低限の仕事は果たせた」と納得の表情を見せた。
 史上初の6連覇へ、首位との差は1分58秒。上林監督は「今できることを精いっぱいやるだけ。最後まで諦めず走り抜きたい」と力強く語った。



甲斐Aの2区・中里樹乃(右、区間3位)が3区・茂田拓也(区間2位)にたすきを渡す=甲府市内
 
総合力 甲斐A3位
 甲斐Aは10人全員が区間1桁順位と、総合力の高さを見せて3位で折り返した。星正幸監督は「もう少し上を狙いたかった」と満足するそぶりはなかった。
 「走れる(力のある)中学生がいる、1、2、3区でリードする」。指揮官のプラン通り、序盤の好走がリズムを生んだ。1区の大嶋康生(敷島中)は「自分で流れをつくろうと思った」と、区間賞の快走。2区を終えて2位・甲州とはわずか13秒差に迫られたが、3区の茂田拓也(長谷萬)が「落ち着いて入り、最後の上り坂で全て出し切ることを意識した」と力強く後続を引き離した。
 甲斐市では週1回、陸上の練習会が開かれている。多くの選手が参加し、着実に力を付けたことが総合力を押し上げている。指揮官は「年間を通した練習の成果が実を結んでいる」とうなずく。
 トップとは約4分半差。星監督は「厳しい差だが、序盤から最大戦力を投入して大逆転を狙いたい」と、7大会ぶりの王座を見据えた。




山梨日日新聞 2024年12月15日掲載

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