『山梨歴史カレンダー』
日ごとに振り返る甲州1300年の歩み
約1300年にわたる山梨の歴史を日付ごとに紹介した「山梨歴史カレンダー」が山梨日日新聞社から刊行された。社会の出来事をはじめ政治、経済、文化、人物などに関する約6,000項目を収めているほか、『山梨の気象百年』(甲府地方気象台編)を基に当該日の晴天など出現率を示した「天気情報」も掲載した。
同書は既刊の「山梨の20世紀」「山梨20世紀の群像」の姉妹編(山梨日日新聞社刊)。昨年9月5日から今年9月4日までの毎週火曜日、山梨日日新聞紙上に「やまなし歴史カレンダー」として各1週間分を連載した。
近世以前を山梨郷土研究会の金子誠司、原正人、堀内亨の三氏が担当、1872(明治5)年以降の近代は山梨日日新聞の紙面や記事データベースを基に構成。いずれも複数の関連書を照合しながら日付や内容を決めた。
内容は666(天智天皇5)年から2000(平成12)年までの古代から現代までの出来事。社会、政治、経済、文化などのあらゆる領域に及び、事件や事故、自然災害、選挙、住民運動、文化団体や文化人らの動き、道路開設といった基盤整備など、さまざまな出来事のエッセンスを紹介している。
現在進められている県史編さん事業の最新成果や、同事業で山梨の近代史を叙述する上で重要な一次史料として使われている山梨日日新聞をはじめ、さまざまな文献や古文書にあらためて目を通し歴史の再構築を進めた。この中では、日常生活に密着した出来事や人物、歴史の彼方に消えようとする史実の掘り起こし、従来の文献資料の修正も積極的に行った。
地方病で死亡した清田村(現甲府市)の杉山なかが、遺言によって地方病患者としては県内で初めて解剖されたこと(1897年6月6日)、甲府市内に電話が開通(1906年10月1日)、古関村(現下部町)出身の元日本兵をグアム島で発見(1960年5月23日)−など近代以降の史実をはじめ、約1300年の歳月に埋もれかけた「歴史の記憶」が簡潔な文章でつづられている。
『山梨歴史カレンダー』はA5判、386ページ、2,100円(税込み)
−問い合わせ−
山梨日日新聞社コンテンツ事業局出版部
(電話055・231・3171)
平成13年10月13日付文化面より
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